「御会式」とは
御会式(おえしき)
御会式は日蓮聖人の御命日に合わせて行われる行事です。「御命講(おめいこう)」「報恩講(ほうおんこう)」「恩命講(おんめいこう)」などとも呼ばれています。
弘安5年(1282)10月13日の朝、武蔵国池上(現在の東京都大田区池上)の地で日蓮聖人はご入滅(亡くなること)されました。御会式はご入滅の地、東京池上本門寺で特に盛大に行われ、その様子が浮世絵に描かれたり、俳句に詠まれて「御会式」「御命講」「会式太鼓」「御影講」「日蓮忌」「万灯」等の言葉が季語になっていたりと江戸を代表する行事の1つになっていたようです。
こうしたことから、元々様々な宗派や、神社などでもおこなわれている行事でありますが、現在では日蓮聖人の忌日に行う報恩会の事を表すようになりました。当山では毎年10月21日、周辺寺院では10月~11月にわたって行っております。
ちょうちん
お手綱
紅白の紙花の万灯(まんどう)
紅白のお餅
御会式は日蓮聖人の年忌法要的な意義を有しておりますが、実はこの行事には、もう1つの面があります。それは、鎌倉時代の日蓮聖人と現代を生きる私たちが、時を超えてつながっていることへの報恩と感謝を表すというものです。安心・安穏な心の状態になるための「南無妙法蓮華経」が、750年以上の時間を通して今に伝わっていること、その源となって活動された日蓮聖人への報恩と感謝の気持ちが様々に表現されています。
日蓮聖人がご入滅された時に、季節外れの桜の花が咲いたことが由来となってつくられた紅白の紙花の万灯(まんどう)をはじめとする花飾り・紅白のお餅・ちょうちん・お手綱・お供え物にかけられた紅白蝶結びの熨斗(のし)など、お祝いの要素が随所に見られ、境内がこの行事ならではの華やかな雰囲気となります。特に日蓮聖人像の御手から本堂の中心を貫いて外の角塔婆まで伸びるお手綱は、私たちがその綱を握ることで日蓮聖人とつながることができ、御会式の意義を象徴するものになっています。
当山は檀信徒や地域の皆様と共に、日蓮聖人と私たちの間に受け継いできてくださった先師先哲・ご先祖様の存在に思いを馳せ、聖人の存在や大切にされてきたことを受け止め、現在そして未来に活かしていくことを心にしながら御会式法要を勤修しております。