お盆について 私たちとお盆の行事

「お盆とお施餓鬼」その2

私たちとお盆の行事

お盆の期間に行うことや、仏壇の飾り方等は、地方・地域や家庭・ライフスタイルによって様々な違いがあります。
さまざまな儀礼や各地の行事などと融合され、宗教・宗派や時代によっても形をかえながら続いている行事であるためです。そのため、これこそが正しいという形はありません。けれども生きている私たちにとって、先祖や故人をしのび、大きな命の流れの中で生きとし生きるものや今日の自分自身を見つめるという、お盆の根幹となる理念は、場所や時代が変わっても不変のものです。そうした意味では、形にとらわれすぎず、なにより「心」を大切にして自分の出来る範囲内でそれをあらわす行事にしていただくことが大切です。

[迎え火・送り火]

迎え火は、お盆の前日の12日、あるいは入りの日の13日に、玄関前で皮をはいだ麻の茎であるおがらを燃やします。麻は古来より神事に使われていました。たとえば、神官が儀式の際にばさばさと振る幣(ぬさ)も麻が使われています。江戸時代末期まで礼装として用いられた裃(かみしも)も、必ず麻を使って織られます。神聖な植物である麻を焚き、清浄な火と煙をつくってご先祖さまを導いていると考えられます。

迎え火の変形したものが盆提灯(ぼんちょうちん)であるといわれています。これは鎌倉時代から用いられているそうです。お墓の前で点けた火を盆提灯に移して家まで運び、そのともしびについて家まで戻ってきたご先祖さまを、今度は家の入り口でおがらを焚いた煙で精霊棚(しょうりょうだな)まで導くということもされています。

送り火は、お盆の終わる15日あるいは16日に、玄関先でおがらを焚きます。帰り道を照らして送り出します。京都の大文字焼きなどは、送り火が元であるといわれています。また、精霊流しなどは送り火と同じ意味を持っています。
玄関前でおがらを焚けない場合は、お盆の期間中、盆提灯に明かりをつけたり、つけなくても飾るだけで迎え火・送り火の代わりにすることもあります。
そのほかにも、様々な方法がありますが、ご先祖さまが迷わずにお家へ帰れますように、無事にあの世へ戻れますようにという「心」を表すものであるということが、迎え火・送り火をすることの意味なのです。

[精霊棚について]

精霊(しょうりょう)とは、亡くなった方の霊魂のことです。精霊棚は、帰ってこれたご先祖さまをはじめとする魂を迎え、おもてなしをする場所です。
ここには青竹を四隅に立てて真菰(まこも)の縄を張るなどしてご本尊を掲げ、ほおずき等を飾ります。棚には盆ござを敷いて位牌(いはい)を安置し、果物や菓子、茶湯、霊膳等の供物を供えます。またキュウリで馬を、ナスで牛をつくって置きます。そして水の子(みずのこ)と閼伽水(あかみず)を添えます。そのほか盆花{萩(はぎ)・桔梗(ききょう)・女郎花(おみなえし)・山百合(やまゆり)・撫子(なでしこ)}など、地方などによってさまざまな飾り方で精霊棚がつくられています。
また精霊棚の隅やそれより一段低く棚を設けて種々の飲食を供えたものを「無縁棚(むえんだな)」といいます。
精霊棚をつくることができない場合は、仏壇でこれに準じ、できる範囲で用意をします。

[精霊棚の飾り]

○ほおずき
提灯(ちょうちん)を模したもので、迷いの闇を照らす智慧の灯火を表しています。

○盆ござ
お釈迦様が真菰(まこも)で編んだむしろ(寝床)に病人を寝かせて治療されたという仏話があり、これが日本に伝わり、お盆に真菰で編んだ「盆ござ」を奉げるようになったと云われております。真菰は神話時代からその実在が知られており、最古の書物『古事記』や『日本書紀』、『万葉集』などにも見つけることができます。荻・ガマ・カトギなどでもつくられています。

○キュウリの馬
キュウリを体に、足としておがらを四本刺して馬に見立てたもので、精霊馬と呼ばれています。迎える人々の、ご先祖さまが少しでも早く帰ってくださるように、という気持ちを足の速い馬に込めて表したものです。おがらの代わりに割り箸などを使うこともあります。

○ナスの牛
精霊馬と同じように、ナスを体に、おがらを足として四本刺して牛に見立てたものです。名残惜しいので、ご先祖さまがゆっくりと帰っていただくようにという気持ちを表したものです。また、ご先祖さまは茄子の牛に荷物を載せて、キュウリの馬に乗って帰ってくるという説もあります。

○水の子(みずのこ)
深めの器を用意し、その中に蓮の葉や里芋の葉を敷きます。その上に賽の目に刻んだ「ナス」「キュウリ」「洗米」などを盛ったものです。

○閼伽水(あかみず)
功徳水と訳されます。器に「きれいな水」を入れ、その器の上に束ねたみそはぎを添えておきます。みそはぎは漢字で「禊萩」と書きます。「禊」の意味は、身に罪や穢(けが)れのある者、また神事に従事しようとする者が、川や海の水でからだを洗い清めることです。精霊棚をお参りする時に、みそはぎで閼伽水の水を含ませて水の子に注ぎます。これは餓鬼に代表されるすべての存在に対して飯食を施し供養することを表しています。みそはぎが精霊花や水かけ草とも呼ばれているのはこうしたことが由来しているのでしょう。

[棚経]

お盆期間中、お坊さんがお家で法要をします。精霊棚でお経を読誦することから棚経と呼ばれるようになりました。

知っておきたい

「お盆とお施餓鬼」

お施餓鬼について 施餓鬼とは

「お盆とお施餓鬼」その3

施餓鬼(せがき)とは、餓鬼道(がきどう)に堕ちて(おちて)苦しんでいる者に、施し(ほどこし)をするという意味です。お施餓鬼は、お釈迦様の弟子の1人、阿難尊者(あなんそうじゃ)に・・・(続きを読む)

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